美容室の経費をコントロールしてお金を残す方法

あまりお客さん入っていないみたいだけど、この美容室さん、ずっとこの場所で営業しているね?

なんで成り立つのだろう?こんなお店を見かけたことありませんか?

答えは簡単です。

お店が生存するためのお金の使い方を知っているからです。

どんなビジネスでも、経費の使い方さえ知っていれば生存し続けることが可能です。

今回は、経費をコントロールしてお金を残す方法をご紹介します。


1)経費をコントロールするとは?

1日に、たった1人しかお客さんが来ない美容室でも営業が続けられる理由とは、その売上金額の範囲内で経費を使っているから。

当たり前の話かもしれませんが、とても重要な考え方です。
この考え方を『経費の分配率コントロール』といいます。
正しくは、売上ではなく、売上から材料費等の原価を差し引いた「粗利益額」を使います。
稼いだ粗利益額を、何に、いくら使ったのか?
ではなく、
稼いだ粗利益額を、何に、いくらまでなら使っていいのか?
お金を残すためには、お金を残すための経費の上限を知る必要があります。
これは、美容室だけではなく、飲食店、小売業など、どんな業種でも使えます。
美容業のクライアントに提供している『分配率コントロール』の比率を一部ご紹介します。

 


美容室 【個人経営の場合】

項目 科目 分配率 理想範囲
利潤分配率 営業利益 20 5~25
労働分配率 人件費 35 35~55
不動産分配率 地代家賃等 20 15~26
販促分配率 広告販促費 5 5~10
管理分配率 管理費用 20 15~24
合計 粗利益高 100 単位 %

 

売上から材料原価を引いた粗利益額を100とすると、その20%は営業利益として残しておきたい。

そうすると、使える人件費の上限は35%、不動産コストの上限は20%、販促広告費の上限は5%、その他の管理費用の上限は20%となります。

比率の調整は、それぞれの理想範囲の中で状況に合わせて行います。

例えば、都心部の駅前にテナントとして出店しているお店と、郊外立地に出店しているお店では、負担する家賃の額が極端に変わりますから不動産コストにかけられる比率も変わってきます。

都心部の駅前立地のお店の場合、不動産コストが20%ではなく25%であれば、使える人件費の上限は、35%から30%と少なくなります。もちろん、販促広告費、その他の管理費用を調整するという方法もあります。

大切なのは、それぞれの経費比率を理想範囲に収めること。理想範囲というのは業種業態により決まります。自分がどんな立地で、どれだけの出店コストを使うかで、不動産コストの上限が決まります。

そうすると、自動的に人件費の上限も決まるわけです。

ここで注意が必要なのは、美容業界では人件費率は50%は必要だと、一般的な情報で人件費を使ってしまうと大変なことになります。

重要なことは、この理想範囲でお金を使う限り、この事業は生存し続けることが出来るということ。

そして、事業というのは、生存し続けることができて初めて成長することが出来ます。

 


この経費の分配率コンとトールという考え方は、融資を受けるときの事業計画の根拠としても使えます。

売上が右肩上がりの事業計画よりも、本当に返済することが可能かどうかが分かる事業計画。

お金を貸す立場の金融機関としては、必要なのは後者の事業計画になります。

この『分配率コントロール』は、他にも様々な活用の仕方がありますから、是非、ご自身の事業でも取り入れてみてください。