美容室開業のやってはいけない
失敗事例【8】 奥さんを保健所に事業主として届出した
自分の退職日がオープンぎりぎりになるので、美容師の妻を事業主として保健所に届出しましたけど、問題ありますか?
夫婦で美容室を開業した方から、こんな質問がありました。
ご主人も奥様も美容師免許を持っており、前職のお店を辞める時期が、予定よりも遅くなってしまった。
オープンしたい日は決めていたので、仕方がないので保健所への届出は奥様を事業主として届出をしてしまったようです。
奥様が事業主としてお店を経営をするのであれば何も問題はありません。
税務署への事業主としての届出は、奥様となり、ご主人は事業主の奥様から専従者給与をもらうという形になります。
事業の実体が奥様であれば問題は無いのですが、実質的な事業主はご主人であるという認識がお二人の中にあり、スタッフの採用など、美容室経営の行為のすべて奥様が主体となることについて、それは望んでいないという点が問題となりました。
どんな対応していれば良かったのか?
本来の姿として、税務署への届出は奥様ではなく、ご主人の名義として届出をし、保健所の届出もご主人として届出をするべきでした。
美容室の経営は許認可制ですから、実態と異なる届出をすることは当然認められません。
将来のリスクを考えて、大変ではありますが、保健所の届出も取り下げて、再度、申請のし直しが早期に必要でした。
保健所の届出は事実をしっかりと伝えて、届出のし直しが無事に完了しましたが、問題は、税務署への各種届出です。
残念ながら、開業した初年度は青色申告を選択することができず、さらに、奥様への専従者給与の支払も支払うことが出来ませんでした。
青色申告の届出をするためには、開業した日から2ヶ月以内に税務署への届出が必要になります。
そして、身内への青色事業専従者給与を支払うためには、青色申告が要件になっておりますので、その選択もできません。
お二人とも力のある美容師さんでしたので、初年度からの経営状況は良い状態でしたので、青色申告のメリットである、65万円控除と身内への青色事業専従者給与が支払えなかったことは痛手となってしまいました。
具体的な対応
税務署への開業の届出は、奥様で提出されていました。
ただ、事業の実体がご主人であることから、まずは保健所に事情を説明して、保健所の届出の登録のし直しをしてもらいました。
税務署に対してはご主人での開業届出を行い、奥様の開業の届出の取り下げ申請を行いました。
開業の日は変えられません。
ご主人が青色申告の届出を提出したのは2ヶ月以上経過していましたので、初年度は白色申告となりました。
事業主として追うべき責任がどんなものであるのか、保健所への届出、税務署への届出、労災、雇用保険の届出など、美容室を開業すると1人の経営者となります。
経営者として知らなければいけないことが沢山あります。
そして、知らなかったことで痛手を負うことも沢山あります。
今回の場合には、奥様を事業主として継続し、ご主人は他の店舗を出店した時に事業主になるという選択もあります。
ご夫婦が美容師免許を持っている場合には、いろいろな選択肢が増えてきます。
目的は、自分達のやりたいビジョンを実現すること。
そのための選択肢をどれだけたくさんもてるかは、どれだけの情報を持つかに掛かってきます。