法人税申告書はどう書く?まずはその仕組みから理解しよう!

会社の会計業務や税務の中でとくに難しいことの一つが、税務申告です。

法人税を始めとする税金を納める際には税務申告書を作成しなくてはいけませんが、法人税申告書はボリュームが多く、初めての人ではなかなか分かりにくいものでしょう。

ここでは、法人税申告書の内容やその書き方について解説します。

法人税申告書は決算書が元になる

法人税の額は会社の所得によって決まります。

そのため、法人税申告書を作る際には、あらかじめ会社の利益や損失が分かる決算書を作成しておく必要があります。
しかし、決算書をそのまま書き写しても申告書にはなりません。

それは、会計上の利益と課税対象となる所得とが異なるからです。

法人税申告書を作るためには、決算書の中で利益や損失として計上されているものを、税法上の益金と損金に分けていかなくてはいけません。
その元になってくるのが、損益計算書や貸借対照表です。

損益計算書の「税引き前当期利益」から、一度法人税を割り出した後、申告書のそれぞれの項目を埋めていくというのがよく知られている方法です。
また、法人税申告書は一つの書類ではなく18の別表によって成り立っています。

書き方としては、これを別表一から順に作成していくわけではありません。

所得税の控除を計算する別表六など、先に作成しておいたほうが良い書類があります。

別表四はどのように書けば良い?

別表四は、法人税申告書の中でも最も重要な書類ですが、書き方が分からずに悩む人も多いかもしれません。
別表四を見ると、上から下まで様々な項目が並んでいます。

最も分かりやすいのは、一番上にある「当期利益又は当期欠損の額」でしょう。

これは、損益計算書の税引き後の当期利益や当期損失と同じです。
そして、横方向には総額と留保、社外流出という項目が並んでいます。

例えば当期利益であれば、社内でそのまま保有している分を留保、配当などとして支払った分を社外流出、その合計を総額として書き入れるわけです。

この総額の部分を順次足したり引いたりしていくことで、課税対象となる所得の額が出てきます。

これを書き込むのが最下段にある「所得金額又は欠損金額」です。
しかし、票の二段目には既に「損金経理をした法人税及び地方法人税」という項目があります。

つまり、各々の項目は課税所得や税額を計算した後、再度立ち戻って書くことになります。

別表五と別表六以降はどのように書けば良い?

別表五と別表六以降の書き方が分かると、別表四はさらに理解しやすくなります。
別表五には、資本金や資本準備金、剰余金といった会社の基本的な財務状況を書きます。

これは貸借対照表から書き写せば良いでしょう。

また、別表五にも法人税や法人住民税、事業税といった当期に発生した税金の額を書かなくてはいけません。

別表四の「損金経理をした法人税及び地方法人税」というのは、ここから転記するわけです。
さらに、別表六には法人税の控除の明細を書きます。

別表七以降では、損金経理の明細をまとめていきます。

つまり、決算書の経費のうちで損金算入できないものや、収益のうちで益金不算入となるものなどを、これらの書類に書いていきます。
このように、法人税申告書を作成する際には、別表五で税金の損金経理について、別表六以降で税金の控除や科目ごとの損金経理についてまとめた後、別表四に戻ってそれぞれの項目を埋めていけば良いわけです。