給与計算の概要と手順を紹介します。

雇用主が従業員に支払う給与の計算には、様々な手順があります。

特に、給与の金額から天引きされる社会保険料や所得税や住民税の金額などは、その種類によって計算方法が異なります。

そこで、給与計算の概要と手順をできるだけ簡単に紹介しましょう。

給与計算とはどういうものか。

給与計算とは雇用主が従業員へ支払う給与を計算する事を言います。

多くの場合で給料から天引きされている所得税、住民税、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険などは、各種法律の定めにより天引きが認められている法定控除であり、それ以外の天引きは雇用主と従業員が天引きに合意した法定外控除となります。

給与計算の計算方法は、まず健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険を計算し、これらの社会保険料等の金額を課税対象となる給与から差し引く事で所得税を計算します。

なお、住民税は、その税額について各市区町村から連絡があります。

それぞれ計算された法定控除の金額を天引きした残額から、さらに法定外控除の金額を天引きした金額が従業員の手取り金額となります。

法定控除うち社会保険料の計算方法とは。

一般的な給与計算で行う法定控除の計算方法は、健康保険、厚生年金保険、介護保険については加盟する健康保険組合が発表する保険料額表から算出し、雇用保険については雇用主の事業の種類によって従業員が負担する保険料を計算します。

これらの金額は社会保険料と呼ばれ、一年間、毎月の給与から天引きされます。

前者は、一定期間の給与から算出した平均額を標準報酬月額とし、その金額に健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料率を乗じて算出します。

実務では、それぞれの保険料率を乗じた保険料が数十の等級に区分された保険料額表にまとめられていますので、標準報酬月額を保険料額表に当てはめて保険料を算出します。

後者は、各種手当を含む賃金総額に保険料率を乗じて求め、例えば一般の事業に該当する場合は、1000分の5が従業員負担、1000分の8.5が雇用主が負担する割合となります。

法定控除うち税金の計算方法とは。

一般的な給与計算では、所得税と住民税を計算して天引きします。

所得税は源泉所得税とも呼ばれ、その計算方法は毎月の給与総額のうち課税対象となる金額から社会保険料等を差し引いた金額と扶養親族等の人数を、国税庁が発表する源泉徴収税額表に当てはめて控除する所得税額を算出します。

なお、所得税は一年間の所得を基に計算するものであり、毎月の給与からは正確な税額は計算できません。

そのため、この税額表に記載された金額は概算額であり、年末調整において正確な所得税に調整することになります。

また、天引きされる住民税は、前年の所得を基に計算した税額を一年間で分割して天引する事になります。

つまり、所得税は概算額を徴収してから調整する先払いの税金であり、住民税は確定した所得から税額を計算して徴収する後払いの税金です。

そのため退職した場合は、その年に所得税を支払い、退職した翌年に住民税を支払う事になります。