経営者必見!年末調整の計算方法とは

年末近くなると業務が忙しくなる理由の一つに年末調整の存在があります。

年末調整は、従業員の一年間の所得を計算して、源泉徴収している所得税の額を調整するためのものです。

所得や控除の仕組みを正しく理解することで、年末時に慌てることのないようにしておきましょう。

 

まずは一年間の課税所得を計算しよう

年末調整で最初にすべきことは、それぞれの従業員にいくら所得があったかを計算することです。
実際に所得税が課される課税所得は、支払った給与の全てではありません。

給与のうち、様々な控除などを差し引いた分に所得税が課税されることになります。
源泉徴収票を見ると、支払金額という項目がありますが、これは天引き前の給与と賞与を合計したものです。

しかし、通勤手当には所得税が課されないため、この中には含めません。

課税所得とは、支払金額から基礎控除や社会保険料控除といった様々な控除を差し引いた分になります。
源泉徴収すべき所得税の額は、課税所得に税率を掛けることで得られます。

年末調整では、一年間の源泉徴収税額と、最後の給与から天引きする残りの所得税の額を算出すれば良いわけです。

 

所得控除には様々な種類がある

次に所得控除を計算することになりますが、給与所得者の場合は必ず控除されるものが2つあります。

それは、給与所得控除と所得税の基礎控除です。
給与所得控除というのは、給与所得者の必要経費のようなもので、年収500万円の人であれば支払金額のおよそ20%が控除されます。

また、基礎控除は所得税を納める全ての人に共通で、一律38万円が所得から差し引かれることになっています。
それ以外の控除額がいくらになるかは、働いている人それぞれの事情によって異なってきます。

よく知られているものは、配偶者控除や扶養控除などでしょう。

また、社会保険料や生命保険料も所得控除のうちに含まれます。
年末調整に関係する主な控除としては、他にも住宅ローン控除などがあります。

住宅ローン控除については、借入2年目以降であれば年末調整で手続きを行うことが可能です。

 

過不足があった分は最後の給与で清算する

最後に、支払金額から所得控除の合計額を差し引くと、一年間の課税所得が割り出されます。
源泉徴収票に書かれている源泉徴収税額というのは、これに所得税の税率を掛けたものです。

つまり、源泉徴収票の金額は、全て一年を通算したものだという点に注意しておいてください。
年末調整による計算の結果、所得税を徴収しすぎていた場合や、不足があった場合には、通常12月分の給与で清算をします。

所得税を納めすぎていた人に対しては、その分を給与に上乗せして還付します。

また、前月までと同額では納めるべき税額に足りないというケースでは、天引き額を増やして帳尻を合わせます。
また、会社としても、納めすぎていた所得税は、国に請求すればその分を還付してもらうことが可能です。

詳しいことは国税庁のホームページにも書かれているので、源泉所得税の還付請求についてもチェックしておきましょう。