給与の金額や扶養親族で変わる、所得税の計算方法!
毎月の給与や賞与から控除される所得税の金額は、給与の金額や扶養親族の数に応じて異なりますが、どのように計算しているかを理解している人は多くありません。
そこで、給与から控除される所得税の計算方法を簡単に紹介しましょう。
毎月の給与から控除する所得税の計算方法
所得税は一年間の所得から税額を計算するため、毎月の給与からは正しい税額が計算できませんので、控除される所得税は概算の金額となります。
その概算額は、国税庁が発表する源泉徴収税額表に細かく定められており、毎月の給与の金額と扶養親族の人数をその税額表に当てはめて算出した金額を控除し、一年間の給与が確定する12月に年末調整を行って正しい税額へ調整を行います。
つまり、毎月の給与では生命保険料控除などの所得控除は差し引かれず、課税の対象となる給与の金額から社会保険料等を控除した残額と扶養親族の数によって自動的に税額が決まることになります。
なお、こうした計算は、従業員が雇用主に対して扶養控除等(異動)申告書を提出している場合に行われ、提出していない場合は税額表で一番高い乙欄の金額が控除される事になります。
課税対象となる給与と非課税となる給与
所得税の課税の対象となる給与には、役員や使用人などの従業員に支払う給与、賃金、歳費、賞与などがあります。
もちろん、残業手当や職務手当、家族手当、住宅手当なども給与の金額に含まれます。
ただし、一定の金額以内の通勤手当や転勤などで支出した金額のうち、通常必要と認められる金額は非課税となり、所得税の計算には含みません。
なお、給与を金銭以外の物や権利など現物支給をした場合は、それによって従業員が経済的利益を享受したと認められるときは課税の対象となりますが、永年勤続表彰の記念品や食事を支給した場合、社宅や寮を貸与した場合などについては、一定の条件を満たす場合に限り非課税として取り扱われ所得税の計算には含みません。
つまり、従業員に経済的利益があるか否かで課税と非課税の判断をする事になります。
課税対象から控除する社会保険料等の金額の計算
給与から控除する所得税は、課税対象の金額から健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険といった社会保険料等を控除した金額を源泉徴収税額表に当てはめて計算しますが、その社会保険料等は一定期間の給与の平均額を基に算出し、その保険料は一年間にわたって毎月控除されます。
一般的には、4月から6月までの給与の平均額を標準報酬月額とし、その金額を加入している健康保険組合が定める保険料額表に当てはめ、算出した保険料を9月から翌年8月まで控除します。
なお雇用保険については、毎年4月に厚生労働省より該当する年度の保険料率が発表され、その内、労働者が負担する保険料率を通勤手当などを含む給与総額に乗じて計算するため、健康保険や厚生年金保険とは異なり、毎月計算する必要があります。