法定調書にはどんなものがある?59種類の中から厳選して解説

税務署に提出する法定調書には、実に50種類を超える書類があります。

そのほとんどは所得税に関係するもので、会社が金銭などの支払いをした際には、多くのケースで調書を作成すると考えて良いでしょう。

ここでは、扱う機会の多い調書を中心に、どんな法定調書があるのかを見ていくことにします。

その1 源泉徴収票と専門家への報酬の支払調書

法定調書というと支払調書のことを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、源泉徴収票も法定調書の中に含まれます。
会社が人を雇って仕事をしてもらう場合、毎月の給与から所得税などを天引きすることになります。

会社から従業員へ給与を支払う際には、所得税を源泉徴収をすることが義務付けられているからです。

そして、一年間で所得税をいくら徴収して納めたかをまとめた書類が、源泉徴収票になります。
源泉徴収の義務は、弁護士や税理士といった専門家に報酬を支払う場合にも発生します。

この時に作成するのが「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。
源泉徴収票や専門家への支払調書は、種類の多い法定調書の中でもとくに作成する機会の多いものでしょう。

法定調書というのは、少し詳しく書くと、所得税や相続税などに関連して、人や会社の金銭のやり取りを税務署が確認するためのものなのです。

その2 不動産を購入したり借りている場合の支払調書

会社が不動産を購入する場合や、オフィスなどを賃貸で借りる場合にも法定調書の作成が必要になります。
また、仲介手数料や管理費の支払いに関しても支払調書を作らなくてはいけません。

このように、法定調書は物品やサービスなどが自分の所有にならない場合でも作成しなくてはいけないケースがあります。
不動産関係の法定調書にはいくつかの種類がありますが、とくに事務所のレンタル費用や管理費などの支払調書は、「不動産の使用料等の支払調書」というものに当たります。

また、仲介手数料を支払う際に必要なのが、「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」です。
しかし、相手が不動産会社などの法人である場合は、家賃や賃借料の支払いだけであれば、法定調書は作らなくてもかまいません。

法定調書を作成するのは、主に不動産を購入したり、仲介手数料や更新料などを支払った場合だと考えてください。

その3 株主への配当や新株予約権などに関する調書

法定調書は、会社の関係者に対して金銭などを支払う際にも作成することがあります。
例えば、株主に利益や剰余金などを配当する場合です。

また、社債を発行している場合は、その利子の支払いについても支払調書を作る必要があります。

これから株式会社を設立しようと考えている人は、こういった点も念頭に置いておくと良いでしょう。
また、株主らが、新株予約権を行使する場合にも法定調書を作らなくてはいけません。

この時、発行する株式の数や権利行使価格などを調書のなかに記載します。法定調書というのは、現金や有価証券などの支払いをまだ行っていない場合でも、作らなくてはいけないケースがあるわけです。
以上で見てきたように、法定調書には様々な種類があります。

中には「国外送金等調書」のように、送金を行っただけでも調書の作成が必要になる場合があるので、注意しておきましょう。